子供も顎関節症になる?「顎が痛い」は成長痛じゃないかも?
2025/09/20

「うちの子、朝起きると『顎が痛い』って言うんです…」
「食事中に、顎から『カクカク』って音がするんですけど、これって大丈夫?」
もし患者さまのお子さまが、このような様子を見せていたら、それは「子どもの顎関節症」のサインかもしれません。
顎関節症と聞くと、大人の病気だと思われがちです。
しかし、お子さまでも顎関節症が発生することがあり、とくに乳歯から永久歯への生え変わり時期である10代は噛み合わせが不安定になりやすく、顎関節症の発生率も増加傾向にあります。
子どもの顎は、まだ成長途中であり、非常にデリケート。
顎に不調があると、食事や発音、姿勢、さらには全身の発育にも影響を及ぼす可能性があります。
「一時的なものだろう」と見過ごしてしまうと、症状が慢性化し、大人になってからの重症化につながるケースも少なくありません。
このページでは、子どもの顎関節症の兆候から、その原因、そして当院での診断と治療、予防法までを詳しく解説します。
子どもに特有の顎関節症のサイン:見過ごされがちな3つの兆候
お子さまの顎関節症は、痛みをうまく言葉で表現できなかったり、症状がわかりにくかったりするため、親御さんが気づくのが遅れてしまうことが多々あります。
以下のようなサインを見逃さないように、日頃からお子さまの様子を観察してあげてください。
サイン①:顎の「音」や「痛み」

最もわかりやすいサインの一つです。
口を開け閉めする時に「カクカク」「ゴリゴリ」と音がする
顎関節のズレや摩擦によって生じる音です。
本人はあまり気にならないことも多いですが、親御さんが横で聞くと気づくことがあります。
朝起きた時に「顎が痛い」と訴える
就寝中の歯ぎしりや食いしばりによって、顎の周りの筋肉が緊張し、痛みを引き起こしている可能性があります。
食事中に顎をかばうような仕草をする
硬いものを避ける、片側の歯だけで噛むなど、食べ方になんらかの偏りが見られることがあります。
サイン②:顎の動きの異常

口がまっすぐに開かない、大きく開けられない
お口の中に指を縦に3本入れた状態で、楽に開けられない場合は要注意です。
口を開けたり閉じたりする時に、顎が左右にずれる
顎関節のズレによって、動きがスムーズでなくなり、顎が斜めに動くことがあります。
サイン③:顔や体の歪み、無意識の癖

顎の不調は、顔や体全体に影響を及ぼすことがあります。
「ポカン口」と呼ばれる、口が半開きになっていることが多い
口を閉じるのが難しく、常に口呼吸になっている可能性があります。これは歯並びにも悪影響を及ぼします。
食事の際に片側の歯ばかりで噛んでいる
噛み合わせのバランスが崩れ、顎の筋肉や関節に負担をかけている可能性があります。
姿勢が悪く、猫背になっている
顎関節のバランスが崩れると、頭の位置や姿勢を保つために首や肩の筋肉に負担がかかり、姿勢が悪くなることがあります。
成長痛と顎関節症の「痛み」はどこが違う?
お子さまが「痛い」と訴えたとき、親御さんは「成長痛かな?」と思われるかもしれません。
しかし、顎関節症の痛みと成長痛には、明確な違いがあります。
この違いを理解することが、早期発見につながります。
お子さまが「顎が痛い」と訴えたら、「いつ、どのような時に痛いのか」「他に何か症状はないか」をよく聞いてみてください。
特に、「朝起きた時」や「ご飯を食べている時」に痛みを訴える場合は、顎関節症の可能性が高いと考えられます。
項目 | 成長痛の痛み | 顎関節症の痛み |
---|---|---|
痛みの場所 |
主に下肢(膝やふくらはぎなど)に現れることが多い。 |
顎の関節、耳の前、こめかみ、首、肩などに現れる。 |
痛みの性質 |
鈍い痛みやズキズキとした痛みが多い。 |
ズキズキとした痛みや、口を開け閉めする際の鋭い痛みが多い。 |
痛みの時間 |
夕方から夜にかけて、または明け方に多く、朝になると治まっていることが多い。 |
朝起きた時、または口を動かすたびに痛むことが多い。 |
痛みの誘因 |
特に誘因がなく、急に痛みが現れることが多い。 |
歯ぎしり、食いしばり、硬い食べ物を噛む、口を大きく開けるなど、特定の動きで誘発されることが多い。 |
その他の症状 |
痛み以外に目立った症状はないことが多い。 |
「カクカク」「ゴリゴリ」という関節音、口が大きく開けられない、顎のズレなど、顎の動きに関する症状を伴うことが多い。 |
子どもの顎関節症、成長期ならではの主な原因とは?
子どもの顎関節症は、一つの原因で引き起こされるわけではなく、いくつかの要因が複合的に絡み合って発症することがほとんどです。
特に、子どもの顎や歯は常に変化しているため、大人とは異なる原因やリスクが存在します。
1. 生え変わり期の噛み合わせの不安定さ

乳歯から永久歯に生え変わる時期(混合歯列期)は、顎関節症が発症しやすいタイミングの一つです。
噛み合わせの変化
歯が生え変わることで、噛み合わせが一時的に不安定になります。
特に奥歯の噛み合わせが定まらない時期は、顎のバランスが崩れやすく、顎関節に負担がかかることがあります。
グラグラした歯を避ける
抜けそうな歯をかばって、片側の歯ばかりで噛む癖がつきやすくなります。
これが顎のバランスを崩す原因になります。
2. 顎の成長と歯の不調和

顎の成長と歯の大きさのミスマッチ
顎が急激に成長する時期に、歯の大きさが不調和だと、歯並びが悪くなり、噛み合わせに問題が生じることがあります。
成長期の噛み癖
成長期に片側噛みや頬杖などの癖が続くと、顎の骨の成長が左右でアンバランスになり、顔の歪みや顎関節症を引き起こす可能性があります。
3. 日常的な癖

何気ない日常の癖が、顎関節に大きな負担をかけていることがあります。
頬杖をつく
片側の顎にだけ持続的に強い力がかかり、顎の関節がズレる原因となります。
うつ伏せ寝
顎に圧力がかかり、関節に負担がかかります。
指しゃぶり
顎の関節や歯並びを歪ませる原因となります。
片方の歯でばかり噛む
顎の筋肉や関節のバランスが崩れ、顎関節症を招くことがあります。
4. 歯ぎしり・食いしばり

大人の顎関節症の最大の原因の一つですが、子どもも例外ではありません。
就寝中の歯ぎしりや、集中している時の食いしばりは、顎の関節や筋肉に過度な負担をかけます。
ストレス
精神的なストレスが原因で、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしてしまうことがあります。
学校生活や友人関係、習い事など、お子さまを取り巻く環境に注意を払ってあげましょう。
5. 外傷
転倒して顎をぶつけたり、スポーツで強い衝撃を受けたりといった外傷も、顎関節のズレや損傷の原因となります。
子どもの顎関節症に関するよくある質問
親御さんへ:お子さまの顎の不調、見過ごさないでください
お子さまの顎関節症は、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
しかし、お子さまが自ら痛みを訴えなかったり、日々の忙しさで見過ごしてしまったりすることも少なくありません。
もし少しでも気になることがあれば、「成長痛かな?」「そのうち治るだろう」と自己判断せず、どうぞ一度、当院にご相談ください。
マイデンタルオフィス藤が丘では、お子さまの不安な気持ちに寄り添い、丁寧な診断とわかりやすい説明を心がけています。
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