保存歯科治療

「もしかしたら、この歯はもう抜くしかないのかもしれない…」
「大切な歯を、できる限り長く残したい」
「痛みや不快感なく、自分の歯で美味しく食事をしたい」
このようなお悩みや願いをお持ちの患者さまへ。
歯を失うことは、お口の健康だけでなく、全身の健康にも大きく影響します。
美味しく食事をする喜び、人前で自信を持って笑うこと、そして何よりもご自身の歯で生涯を過ごすこと。
これらはすべて、歯が健康であるからこそ得られるものです。
マイデンタルオフィス藤が丘では、一本でも多くの歯を残し、患者さまが豊かな人生を送れるよう、「保存歯科治療」に全力を注いでいます。
保存歯科治療とは?

保存歯科治療とは、虫歯や歯周病、外傷などによってダメージを受けた歯を、できる限り削らず、抜かずに残すための治療の総称です。
ただ単に痛いところを治すだけでなく、歯の寿命を延ばし、将来にわたってご自身の歯で生活できるよう、あらゆる手段を講じます。
マイデンタルオフィス藤が丘では、以下の3つの柱を軸に、多角的なアプローチで歯の保存に努めています。
歯の神経の保存と再生
できる限り神経を抜かずに残し、歯の寿命を延ばします。
歯周組織の再生と強化
歯を支える骨や歯茎の健康を取り戻し、歯のぐらつきを防ぎます。
抜歯を回避するための外科的処置
どうしても抜歯が必要なケースでも、最後の手段として歯を残すための手術を行います。
歯の神経を保存する治療:VPT(Vital Pulp Therapy:歯髄温存療法)

虫歯が神経にまで達してしまった場合、これまでは神経を抜く「抜髄(ばつずい)」が一般的な治療法でした。
しかし、歯の神経を抜いてしまうと、歯は栄養供給を断たれて脆くなり、将来的に破折しやすくなるリスクが高まります。
マイデンタルオフィス藤が丘では、可能な限り歯の神経を残す「VPT(Vital Pulp Therapy:歯髄温存療法)」に積極的に取り組んでいます。
VPTは、虫歯に感染した神経の一部だけを除去し、健全な神経を残すことで、歯の寿命を延ばすことを目的とした治療法です。
VPTのメリット
歯の寿命を延ばせる
神経が生きている歯は、栄養供給が継続されるため、破折しにくく長持ちします。
歯の感覚を残せる
冷たいものや熱いものに対する感覚が残り、虫歯の再発にも気づきやすくなります。
変色しにくい
神経を抜いた歯は変色することがありますが、VPTではそのリスクを軽減できます。
VPTの適用条件
VPTは、神経の炎症が軽度であり、感染が神経全体に及んでいない場合に適応されます。
当院では、マイクロスコープを用いた精密な診査と診断により、VPTの適応を慎重に判断し、成功率を高めています。
マイクロスコープを使用した精密根管治療

「根管治療」とは、歯の根の中にある神経や血管が通っている管(根管)から、細菌に感染した組織を取り除き、根管内を清掃・消毒して無菌状態にする治療です。根管は非常に複雑で細いため、肉眼での治療では限界があります。
マイデンタルオフィス藤が丘では、根管治療の成功率を飛躍的に高めるために、歯科用マイクロスコープを導入しています。
最大20倍以上に拡大できるマイクロスコープを使用することで、肉眼では見えなかった根管の入り口や、複雑に分岐した根管、さらには根管内の微細な感染源まで、鮮明に確認しながら治療を進めることができます。
マイクロスコープを用いた精密根管治療のメリット
治療の精度向上
肉眼では見えない細かな部分まで確認できるため、感染源の取り残しを防ぎ、再発リスクを低減します。
歯の削りすぎを防止
健全な歯質を最大限に残しながら、病巣だけを的確に除去できます。
治療時間の短縮
より正確な処置が可能となるため、治療回数や時間の短縮につながります。
難症例への対応
過去に他院で治療が困難とされた症例や、根尖病変(歯の根の先にできる病気)の治療にも有効です。
患者さまへの説明のしやすさ
拡大された術野をモニターに映し出すことで、患者さまにもご自身の歯の状態や治療の進行状況をより分かりやすくご説明できます。
当院では、マイクロスコープの他にも、根管の長さを正確に測定する電気的根管長測定器や、根管内の細菌を除去するためのニッケルチタンファイル、そして根管内を徹底的に洗浄・消毒する高出力レーザーなどの機器を駆使して、より確実な根管治療を提供しています。
MTAセメントを用いた治療

MTAセメントは、近年注目されている画期的な歯科材料です。
生体親和性が高く、硬化する際にわずかに膨張する性質を持つため、根管内の隙間をしっかりと封鎖し、細菌の侵入を防ぐことができます。
また、高い抗菌作用や骨・歯質誘導作用も持ち合わせているため、歯の神経を温存する治療や、根管治療後の封鎖材として非常に有効です。
従来の歯科材料では難しかった症例にも適用できる可能性を秘めており、当院の保存歯科治療において重要な役割を担っています。
MTAセメントの主な使用例
VPT(歯髄温存療法)における覆髄材
神経が露出した部分に直接MTAセメントを貼付することで、神経の回復を促進し、神経を残す可能性を高めます。
根管の穿孔(せんこう)部の封鎖
根管治療中に誤って根管に穴が開いてしまった場合でも、MTAセメントで確実に封鎖し、歯の保存を目指します。
歯根未完成歯の治療
成長途中の歯で根の形成が不十分な場合、MTAセメントを用いて根の先端を閉鎖し、歯の完成を促します。
失活歯の再根管治療
過去に根管治療を受けた歯の再治療において、MTAセメントを使用することで、より確実な封鎖が期待できます。
抜歯を回避するための外科的処置
「もう抜くしかない」と診断された歯でも、私たちは最後の最後まで歯を残すための可能性を探ります。
以下に、当院で行っている抜歯回避のための外科的処置の一部をご紹介します。
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)

虫歯が歯茎の下深くまで進行してしまった場合や、歯が折れて歯茎の下に埋まってしまった場合、通常の方法では被せ物(クラウン)を装着することが困難になります。
このような場合に行うのが、「歯冠長延長術(クラウンレングスニング)」です。
この手術では、歯の周りの骨や歯茎を少しだけ除去することで、被せ物を装着するための十分な歯の高さ(歯冠長)を確保します。
これにより、被せ物が歯茎に当たる不快感をなくし、適合の良い被せ物を製作することが可能となり、歯を抜かずに残すことができます。
矯正的挺出(エキストルージョン)

歯冠長延長術と同様に、虫歯や破折で歯茎の下に埋まってしまった歯に対して行う処置です。
「矯正的挺出(エキストルージョン)」は、矯正装置を用いて歯をゆっくりと引き出すことで、歯茎の下に埋まった部分を上に露出させる治療法です。
この治療は、歯冠長延長術に比べて、歯の周りの組織へのダメージが少ないというメリットがあります。
また、歯を支える骨の量を維持できるため、歯周組織への負担も軽減されます。
ただし、治療に時間がかかる場合があるため、患者さまの協力も不可欠となります。
歯根端切除術

根管治療を何度か行ったにもかかわらず、歯の根の先に炎症(根尖病変)が治らない場合や、根管が複雑で器具が届かない場合に検討されるのが「歯根端切除術」です。
この手術は、歯茎を切開し、歯の根の先端にできた病巣を直接外科的に除去し、同時に根の先端を数ミリ切除してMTAセメントなどで逆から封鎖する治療法です。
これにより、根管の内部からアプローチできない感染源を取り除き、歯の保存を目指します。
マイクロスコープを用いることで、より精密な手術が可能となり、成功率を高めることができます。
ヘミセクション/トライセクション
複数の根を持つ奥歯(大臼歯)の場合、特定の根だけが重度の虫歯や歯周病、あるいは根の破折などで回復不可能な状態になることがあります。
このような場合に、病気の根だけを部分的に切除して残りの健全な根と歯冠を残すのが、「ヘミセクション」または「トライセクション」です。
この治療により、健康な根を残しつつ、1本の歯のように機能させることが可能になります。
ただし、残った歯には大きな負担がかかるため、被せ物などで補強する必要があります。

ヘミセクション
2根歯(下顎大臼歯など)の片方の根と、それに付随する歯冠の一部を切除します。
トライセクション
3根歯(上顎大臼歯など)の3つの根のうち、病変のある1本の根と、それに付随する歯冠の一部を切除します。
歯周再生療法
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯がぐらついたり、最終的には抜けてしまうことがあります。
以前は、一度失われた骨は元に戻らないと考えられていましたが、近年では「歯周再生療法」によって、失われた骨や歯茎などの歯周組織を再生させることが可能になってきました。
ただし、歯周再生療法は、すべての方に適用できるわけではありません。
当院では患者さまのお口の状態や全身の健康状態を詳しく診査・診断し、様々な歯周再生療法を組み合わせて最適な治療計画をご提案いたします。
GTR法(Guided Tissue Regeneration:組織誘導再生法)

「GTR法」は、歯周病で失われた歯周組織の再生を促す代表的な治療法です。
この方法では、歯周病によって破壊された骨欠損部に、特殊なメンブレン(人工膜)を設置します。
このメンブレンによって、歯茎が骨欠損部に入り込むのを防ぎ、骨や歯根膜、セメント質といった歯周組織を再生させるスペースを確保します。
GTR法のメカニズム
歯周病で骨が溶けた部分は、歯茎が侵入しやすく、骨の再生が阻害されてしまいます。
GTR法では、メンブレンが骨欠損部を覆うことで、再生能力の高い骨形成細胞や歯根膜細胞が優先的に増殖できる環境を作り出し、失われた歯周組織の再生を促します。
エムドゲイン®ゲル

「エムドゲイン®ゲル」は、スウェーデンのビオラ社で開発された、歯周組織再生誘導材料です。
ブタの歯胚から抽出したエナメルマトリックスタンパク質を主成分とする薬剤を、歯周病で失われた骨欠損部に塗布することで、歯周組織の再生を促します。
エムドゲイン®ゲルは、歯周組織が作られる過程を再現するように働きかけ、骨やセメント質、歯根膜といった歯周組織の再生を促します。GTR法と併用することで、より高い再生効果が期待できる場合もあります。
リグロス®

「リグロス®」は、日本で開発された歯周組織再生医薬品です。有効成分であるbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)が、歯周病で失われた歯周組織の細胞増殖を促し、骨や歯根膜、セメント質などの再生を促進します。
リグロス®は、歯周病で骨が溶けてしまった部分に直接塗布して使用します。
骨の再生を強力にサポートすることで、歯のぐらつきを改善し、歯の寿命を延ばすことが期待できます。
歯を諦める前に、まずはご相談ください

「もう抜くしかないと言われた」
「治療が難しいと診断された」
そのようなお悩みをお持ちの方も、決して諦めないでください。
マイデンタルオフィス藤が丘では、あらゆる技術と知識を駆使して、患者さまの大切な歯を守るために全力を尽くします。
もしかしたら、まだ残せる方法があるかもしれません。
まずは一度、マイデンタルオフィス藤が丘にご相談ください。
患者さまの歯の現状を詳しく診させていただき、歯を残すための最善の治療法をご提案させていただきます。