スポーツとマウスガード

ラグビーワールドカップ日本代表残念でしたね。

ラグビーといえば激しいタックルが思い浮かびます。ラグビーに限らず競技者間の接触のある競技のことを「コンタクトスポーツ」と呼びます。

コンタクトスポーツは接触の度合いによって、「フルコンタクト」「セミコンタクト」「リミテッドコンタクト」「ノンコンタクト」の4段階に分類されます。

フルコンタクトは、力を抑制せず相手選手に直接接触する形式の競技でラグビーの他、アメリカンフットボール、レスリング、柔道などが代表的です。

セミコンタクトは、力を抑制したうえで相手選手に直接接触する形式の競技で剣道や防具付きの空手などがあります。

リミテッドコンタクトは、相手選手と接触することもあるが、基本は距離を置く競技で、バスケットボール、野球、サッカーなどです。

ノンコンタクトは、相手選手と直接接触しない競技で、テニス、卓球、バトミントン、バレーボールなどです。

コンタクトスポーツでは、競技中の事故により歯や口を怪我する事が多く、とくにフルコンタクトの競技ではマウスガードの装着が義務付けられる事があります。

選手同士の激しいコンタクトが避けられないラグビーでは中学生、高校生などは義務化されています。

マウスガードの着用がルールで義務付けられているスポーツは、ボクシングをはじめとして、顔面を直接殴打される格闘技全般、アメリカンフットボール、アイスホッケー、インラインホッケー(ジュニア)、ラクロス(女子)などがあります。

一部義務化されている競技は、ラグビー、ラクロス、サッカー、バスケットボール、水球、ハンドボール、フィールドホッケー、アイスホッケー、空手、レスリング、柔道、相撲。

また、野球、ソフトボール、バレーボール、ゴルフ、テコンドー、剣道、スキー、スケート、重量挙げ、砲丸投げ、円盤投げ、槍投げ、体操、弓道、アーチェリー、ボディービル、アームレスリング、馬術、モトクロス、カーレース、競輪、競馬などで推奨されています。

コンタクトスポーツに限らず味方選手や用具、床などとの接触による怪我は少なからず発生している事からノンコンタクトスポーツでも装着が推奨される競技が沢山あります。

マウスガードの誕生は1892年、ロンドンの歯科医ウォルフ・クローゼ氏がボクシング選手の求めに応じて手作りしたゴム製のマウスガード(マウスピース)だったそうです。

それから130年余りたち現在では製法も材質も大きく進化し、様々なスポーツに欠かせないものになっています。

その機能もパンチの衝撃をゴムで弱めるだけだったマウスピースから、

① 他の選手との接触により起こる選手自身の舌、歯、顎骨などの外傷の予防・範囲、症状の軽減
② 他の選手の歯との衝突による外傷の予防・軽減
③ 競技や練習中の強い噛みしめ(スポーツクレンチング)による歯の咬耗(すり減り)、歯の破折などの予防・軽減
④ 下顎への外力に対する顎関節の保護

など、競技中に歯列をしっかり噛み合わせておき、歯自体の損傷、歯による口内の裂傷を防ぎ、脳への振動を軽減するための器具へと進化しました。

トレーニングで筋肉を鍛えることは出来ても、歯を鍛えることはできません。そのため歯の破折などを予防するためには、適正なマウスガードの使用が重要です。

マウスガードにはスポーツ用品店などで購入できる安価なものもありますが、噛み合わせ、適合性、維持力、装着感に問題があり、呼吸や発音がしにくいなどの欠点があります。

歯科医が診察し、歯科医師あるいは歯科技工士により適切に製作されたカスタムメイドのマウスガードは、選手の口腔内に最適の設計ができる為全ての面で優っています。

当院ではさまざまなスポーツにおけるマウスガードの装着を奨励し、啓発活動に努めています。

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